地域コミュニティを考える際に忘れてはならないキーワードが公平性です。所得水準や暮らしの豊かさに明暗がある状況が長期化すると、疎外感や不信感を生みがちです。子育て世代への経済的支援を地域で仕組むことも、住民自治として大切な取り組みの一つでしょう。もちろん行政任せにすることなく、草の根の互助の精神を大事にしたい。この点で注目されるのが地域通貨です。独自のポイントシステムと連動した自治体通貨は、支出と還元を地域内で循環させる効果が期待できます。消費喚起と所得再分配を一体的に達成できる好事例といえるでしょう。デジタル化の波も追い風となりそうです。一方で、過剰な市場原理の導入には注意が必要です。公平性を損なうようなサービスの差別化や料金体系の複雑化は避けるべきでしょう。多様な住民が助け合えることの出来る絆こそが、地域社会の活力の源泉。カネの流れをコミュニティの絆として作り直す工夫が求められています。